法人税申告業務についてご紹介~法人税確定申告・納付~

経理や財務の部署に所属すると、様々な業務が出てきます。税務申告は企業が果たすべき責務であり、正しく行うことで社会的信頼を得ることができます。しかし税務申告が重要である理由の最大のものは“税務調査を避けるため”でしょう。申告した税金額に問題点が発見されると、税務署から強制調査や任意調査を受けることがあります。調査が入ると提出された情報に誤りや不正が無いかを徹底的に調査されます。そこで法人税申告業務の法人税確定申告・納付についてご紹介を致します。

確定申告書の提出期限


 企業は、原則として事業年度終了の日の翌日から2カ月以内に確定した決算に基づいて確定申告書を提出しなければなりませんが、以下の場合には、提出期限を延長することが出来ます。

①事業年度終了の日の翌日から2カ月以内に決算についての定時株主総会が招集されない場合

 →原則的に1か月延長

②会計監査人設置会社で事業年度終了の日の翌日から3か月以内に決算についての定時株主総会が招集されない場合

 →最大で事業年度終了の日の翌日から6か月延長

③災害その他やむを得ない理由がある場合

 →税務署長が指定した月数の延長

 また、納税の期限も同時に延長されますが、事業年度終了の日の翌日後2カ月を経過した日から延長された期間までの利子税を支払う必要があるため、実務上は事業年度終了の日の翌日から2カ月以内に見込み額を納付することが一般的です。

なお、この場合の利子税は延滞税とは異なり、損金に算入されることとなります。

 

税務調整


 税務調整とは、会計上の利益と税務上の課税所得の際を調整する手続きのことを言います。税務調整には、会計上での処理が要求される決算調整事項とm申告書での調整が必要となる申告調整事項があります。

①決算調整事項

決算調整事項とは、確定した決算において経理された場合に限り税務上も認められる事項で、減価償却費や貸倒引当金の繰り入れが代表例です。

②申告調整事項

 申告調整は、申告書への記載を条件に適用が認められる「任意申告調整事項」と申告書において必ず調整しなければならない「申告調整事項」とに区分されます。

 任意的調整事項の代表例は、受取配当などの益金不算入や所得税額控除であり、必要的申告調整事項の代表例は、還付金などの益金不算入や法人税などの損金不算入です。

 

添付書類


 法人税の申告書には、最低限、以下の書類の添付が必要となります。また、各種特例を受ける場合は、これら以外にも添付書類が必要となりますので、添付漏れがないよう注意が必要です。

  1. 貸借対照表
  2. 損益計算書
  3. 株主資本等変動計算書
  4. 勘定科目内訳明細書
  5. 事業概況書

 

ワンポイント

会計上の利益と課税所得

 法人税は、確定した決算に基づいて計算されるため、原則的に会計上の利益と課税所得は一致します。

 但し、法人税法では、原則的には一般の会計基準に従いますが、一部税務と会計が不一致の部分だけを別段の規定として細かく規定しています。

 そこで、会計(決算書)上の儲けである当期利益をもとに、会計と税務で考え方の違う所を調整して、税務(税務申告書)上の儲け(所得金額といいます)を算出します。会計と税務の相違を調整することを、申告調整といい、と当期利益を増やすか減らすかのどちらかになり、当期利益を増やす調整を「加算」、減らす調整を「減算」といいます。 

 

まとめ


 税務申告とは企業が法人格として行うべき税金の申告業務です。“法人格が行う確定申告”と言うと、少しわかりやすいかもしれません。個人事業主の場合、確定申告では個人事業主税や住民税、消費税など複数の税金申告をします。
法人税は、法人の所得(利益・損失)に対して課せられる税金です。各事業年度の収益から、損失や費用を控除して算出される企業会計上の利益に、法人税の調整を加えて所得を算出します。算出した所得に税率をかけた金額が税金額として確定します。



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