経理や財務の部署に所属すると、様々な業務が出てきます。企業がその事業活動の用に供するために1年以上の長期にわたって使用または利用する目的で保有する資産を言います。固定資産は、有形固定資産・無形固定資産に分かれ、そこからさらに減価償却資産・非減価償却資産に分けられます。今回は固定資産の減価償却資産についてご紹介を致します。
減価償却費資産
減価償却の償却方法
代表的な償却方法として定率法と定額法上があり、それぞれ下記の算式により計算します。
- 定率法:
(取得価額 - 減価償却累計額) × 定率法償却率 - 定額法:
取得価額 × 定額法償却率
※定率法による償却額が一定の金額を下回った場合、償却方法を定率法から定額法に切り替えて、備忘価額まで償却することとなります。
いずれの方法を採用するかは、会社の任意となります。
法人税法上は原則として、
- 有形固定資産:定率法
(平成10年4月1日以後に取得した建物については定額法のみ)
(平成28年4月1日以後に取得した建物付属設備・構築物については定額法のみ) - 無形固定資産:定額法
によって計算することとされています。
減価償却の計上方法
減価償却を計上する方法には、直接控除方式と間接控除方式とがあります。
①直接控除方式
減価償却累計額を当該資産の金額から直接控除し、その控除残高を当該資産の金額として表示する方式です。
(借方) 減価償却費 ×× | (貸方) 固定資産 ×× |
②間接控除方式
減価償却累計額を当該資産に対する控除科目として、減価償却累計額の科目を持て表示する方式です。
(借方) 減価償却費 ×× | (貸方) 減価償却累計額 ×× |
なお、財務諸表規則において、有形固定資産については直接控除方式または間接控除方式によること、無形固定資産については直接控除方式によることとされています。
平成19年3月31日以前に取得した固定資産の減価償却方法
平成19年3月31日以前(平成19年度税制改正以前)に取得した固定資産については、いわゆる旧定率法、旧定額法が適用されます。
- 旧定率法:
(取得価額 - 減価償却累計額) × 旧定率法償却率 - 旧定額法:
(取得価額 - 残損価額) × 旧定額法償却率
また、これらの資産について、償却可能限度額(取得価額の5%)に達した場合には、到達後5年間で均等償却することとなります。
固定資産台帳と会計帳簿との照合
減価償却費の計上後、固定資産台帳と会計帳簿を照合し、計上漏れがないかや残損額が一致しているかの確認を行います。
ポイント
定率法と定額法以外の減価償却方法
法人税法上、資産区分により方法が認められているものとしては、生産高比例法があります。
鉱業用減価償却資産や鉱業権に認められている償却方法で、あらかじめ生産高(この場合は採掘予定数量)が決められている資産について、以下のような計算式で計算します。
取得価額 ÷ 耐用年数と採掘予定年数のうち短いほうの採掘予定数量 × 採掘量 = 償却額
まとめ
以上のように、固定資産には国や地方から多くの税金が課せられますが、経理処理は税目や支出の内容によって「固定資産の取得価額に含めなければならない資産」「資産計上と損金経理いずれも認められる資産」「損金経理する資産」とさまざまです。まずは税法上の取扱いを正しく理解した上で、会社の財務内容(赤字、黒字)に応じた経理処理を選択する必要があります。
下記で固定資産管理についてまとめ記事を作成しておりますので、ご参考までにご一読ください。
経理や財務の部署に所属すると、様々な業務が出てきます。企業がその事業活動の用に供するために1年以上の長期にわたって使用または利用する目的で保有する資産を言います。固定資産は、有形固定資産・無形固定資産に分かれ、そこからさらに減価償却資産・非[…]