意外と知らない売掛債権管理についてご紹介~売上業務~

 売掛金について意外と知らない人が多いのではないでしょうか?今回はその中でも売上業務についてご紹介を行います。企業活動である仕入や製造、研究開発、広告宣伝、販売促進などの諸活動は、売上を獲得するために行われます。売上を得ることは、こうした諸活動の成果といえます。今回は財務部の業務である売上業務についてご紹介を致します。



売上業務

売上の認識

 売上の認識は、実現主義により行われます。
 実現主義とは、実現の時点で収益を認識する会計学の考え方です。ここでいう実現とは、財貨又は用益の移転(商品の引き渡しやサービスの提供)とこれに対する現金または現金等価物(売掛金、受取手形など)の取得を指します。財貨又は役務が外部に販売された事実を実現の時点とすることから実現主義は具体的には販売基準として適用されています。

実現の要件

  1. 財貨又は用益の移転
  2. 現金または現金等価物の取得

この二つの要件を満たすことが必要。

例えば、先に代金を受取ってから後に商品を送る場合には、実現の要件は商品の発送が完了した時点になります。代金を受け取る時点では商品の引き渡しがされていないため、実現の要件は満たしておりません。

売上の計上基準

一般的な販売形態では、売上は次のいずれかの基準を用いて計上します。

①出荷基準

商品などを実際に出荷(発送)した日をもって、売上に計上する方法です。

②引渡基準

相手先へ商品等を引き渡したという事実をもって、売上に計上する方法です。

③検収基準

相手先へ納入した商品等の数量、品質などを検査・確認した時点をもって、売上に計上する方法です。

特殊な販売形態による計上基準

  1. 委託販売・・・販売基準又は仕切精算書到来基準
  2. 試用販売・・・買取意思表示基準
  3. 予約販売・・・引渡基準
  4. 割月賦販売・・・引渡基準、回収基準、回収期限到来基準
  5. 長期完成工事・・・工事完成基準又は工事進行基準

売り上げの計上を防ぐために行う方法

売上の計上は商品などの出荷又は研修という事実に基づいて行われるため、その事実を客観的に判断できる時点で売上を計上する必要があります。

売上の計上漏れを防ぎ、売上を適切に計上するためには、以下の方法があります。

①相手先ごとに売掛金・前受け金の残高管理を行う

相手先ごとに、債券の発生・回収に関しての確認を行います。例えば、売掛金にマイナス残高が生じている場合には、入金処理はされているが売上処理はされていない可能性があります。

②定期的に実地棚卸を行う

売上の認識は商品の引き渡し等によって行われるため、帳簿上での管理のほか、敵的に実地棚卸を行い実際の商品残高を把握することにより、売上の計上漏れを防ぐことが出来ます。

③収益と費用が対応しているかどうかを確認する

取引先へ外注費を支払ったときなど、対応する売り上げの計上があることにより売上の計上漏れを防ぐことが出来る場合があります。

④利益率に極端なバラツキがないかを確認する

個別の取引での確認、前月や前年同月との比較、期末に前年度末との比較等を行い、異常値がみられる場合には、原因を確認することにより売上の計上に誤りがないかを確認します。

⑤補助簿や証憑等との照合を行う

売掛金台帳などの補助簿、請求書や納品書の証憑と会計処理が一致しているかを確認することにより、単純な売上計上漏れを防ぐことが出来ます。

 

まとめ


売上管理は、販売の一連の流れを管理する販売管理の中の1つです。企業は、商品や サービスを販売すること で、売上(収益)を得ています。企業にとって売上(収益)を向上させるためにも、売上管理は怠ってはいけない大切な業務になります。このように日々の売上管理を怠らず行っていれば、更なる利益の追求に繋げていけます。

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