債務保証管理についてご紹介~連帯保証・債務保証~

 経理や財務の部署に所属すると、様々な業務が出てきます。財務管理の目的は、「会社に必要な資金をどのように調達して」「その資金をどのように運用していくか」の施策を考えて、企業価値を上げるために実行していくことにあります。経理は会社内で発生した取引に関して、仕訳を通して、記録計算することが業務になるため、財務計画の立案から資金の調達と運用がメインである財務管理とは異なる業務になります。債務者が債務を履行しない場合、その債務者に代わって保証人が履行する債務を意味します。債務者が債務不履行にならなければ債務とはいえないため、偶発債務と呼ばれます。偶発債務は債務が確定するまでは貸借対照表には計上されないため、注意が必要です。そこで債務保証管理の連帯保証・債務保証についてご紹介を致します。

連帯保証とは

 連帯保証とは、保証人が主たる債務者と連帯して債務を保証することをいいます。連帯保証は保証の一種ですが、主たる債務者と同様の弁済の義務を負うため、より重い責任を負うといえます。

 

連帯保証の流れ

 連帯保証の流れの一例として、以下のものがあります。

①債務保証の申請の確認と決定

 申請された債務保証の内容を確認し、あらかじめ定められた社内ルール等に基づいて可否判定を行います。

②債務保証契約の締結

 グループ会社向け債務保証と同様、債務保証契約の内容を検証し、債務保証契約を締結します。
検証項目として、主に申請内容、保証枠、保証期間、保証料率、その他条件があります。また、内容によっては、会計処理や注記の有無を確認する必要があります。

③債務保証残高の管理

 債務保証の使用状況などの残高管理を行うため、債務保証台帳を作成します。
また、債務保証契約で債務保証料の設定がされている場合も、あわせて台帳上で管理します。

④債務保証料の管理

 債務保証契約および債務保証台帳に基づいて債務保証料を算定し、請求します。請求した債務保証料が入金になったら、会計処理を行うとともに、債務保証台帳にも記載します。

 

連帯保証と保証の違い

 連帯保証と単なる保証の主な違いは、連帯保証には催告の抗弁権、検索の抗弁権、分別の利益が無いことです。従って、債権者が債務者の支払い能力の有無にかかわらず、いきなり請求してきた場合にもそれを拒むことはできませんし、強制執行を拒むことはできません。

①催告の抗弁権

 主たる債務者に弁済の請求をすることを主張する権利

②検索の抗弁権

 主たる債務者から先に強制執行をすることを主張する権利

③分別の利益

 保証人が複数いる場合、各保証人は保証人の頭割り分だけの責任を負うこと

 

債務保証の会計上の処理

債務保証の会計上の処理に関しては、損失発生の可能性によって変わってきます。

①損失発生の可能性が低い場合

 貸借対照表への債務保証の金額の注記を行います。

②損失発生の可能性が中程度の場合

 貸借対照表への債務保証の金額及び追加情報として、以下の内容の注記を行います。

  • 損失発生の可能性がある程度予想される旨
  • 主たる債務者の財政状況

③損失発生の可能性が高い場合

 金額の合理的な見積もりが可能な場合には、債務保証損失引当金を計上します。不可能な場合には、以下の内容を注記することになります。

  • 損失の発生の可能性が高いが、損失金額の見積が不可能である旨
  • 主たる債務者の財政状況

 

まとめ

 資金の仕事をご紹介が、財務部門が必要とするスキルは、調達の有無と手段を決定する判断力(返済の見積もり計画、会社の財務状況の分析、調達する資金の用途別内訳、そもそも実現可能なのかなど)と金融機関に対する折衝力になります。債務保証とは、主たる債務者が債務を履行しない場合に、保証人が当該債務を履行する責任を負うことを契約することによって債権者の債権を担保するものです。

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