日々の会計処理~月次試算表を作成~

 今回はバックオフィス業務である経理の日々の会計処理、月次試算表の作成についてご紹介致します。簿記では、会計期間ごとに決算を行います。そして資産・負債・資本の各勘定科目の残高の翌期への繰越作業を行い、収益・費用科目の貸借差額は損益勘定に振替える作業が行われます。そして、帳簿を締め切る作業へと進みます。理論的には決算時に行う作業ですが、実際は毎月の業績を把握するため、月単位で区切り、月次での試算表を作成します。ここでは、経理・会計担当者がおさえておくべき会計処理の基礎を解説します。これから経理担当者として働きたいと思っている方はぜひ参考にしてみてください。今回は月次試算表の作成についてご紹介致します。

 

月次試算表を作成する

月次決算は、会社の経営状態をタイムリーに把握するためのものです。

  • 業務の内容
    ・会計ソフトからのアウトプット
  • 作成する書類
    ・合計残高試算表

月次試算表作成の流れ

  1. 日々の取引を仕訳する
    日々の取引を、会計ソフトに入力する
  2. 預金残高を確認する
    現金や預金など、主要な勘定科目の実際残高が試算表の残高と一致しているかを確認する
  3. 年次決算に準じた仕訳を計上する
    減価償却費や期末商品棚卸し高などを、仮の金額で計上する
  4. 合計残高試算表を作成する
    会計ソフトを利用している場合は、印刷機能を使ってアウトプットする

月次決算の基本を知る

  1. 月次決算とは
    会社は年に1度の決算をし、経営成績や財務状況を決算書としてまとめます。もっとリアルタイムに業績を把握し、経営判断の根拠とするために、次のような理由から月に1度の月次決算が必要になります。

    1. できるだけタイムリーに経営状況を把握し、必要な対策をとる
    2. 予算に対する、売上・費用・利益の進捗割合を確認する
    3. 今期の決算の売上・費用・利益を予測し、納税額の手当をする
    4. 月次決算を積み重ねることで、スムーズに年次決算をする
  2. 合計残高試算表をつくる
    月次決算では、決算書ではなく、「合計残高試算表」を作成します。合計残高試算表とは、会社が使用した勘定科目の全てについて、前月残高・今月の増加額・今月の減少額・今月の残高を記載したものです。これらの勘定科目はさらに、「資産」「負債」「収益」「費用」「純資産」の5つのグループごとにまとめて表示されるので、結果として「貸借対照表」「損益計算書」と同じように、月ごとお会社の財政状態や英駅金額を確認することが出来ます。会計ソフトを利用している場合は、1カ月の全ての仕訳が勘定科目ごとに自動集計されます。

月次試算表を作る時の注意点

  • 1か月の正しい期間損益を計算するために
    出来るだけ年次決算に準じた処理をします。しかし、月次決算では正確性よりも迅速性が求められるので、重要性の乏しい科目については、簡便な方法で計算するのが一般的です。月次決算では、次のような点に注意して試算表を作成します。

    項目内容
    現金・預金試算表の残高と実際の残高が一致しているかを確認する
    在庫商品受払簿で、商品や原材料の期末残高を確認し、期首棚卸高と期末棚卸高を計上する
    売掛金売掛金台帳の合計と試算表の残高が一致しているかを確認する
    買掛金買掛金台帳の合計と試算表の残高が一致しているかを確認する
    仮払金・仮受金本来の勘定科目に仕訳をする
    借入金銀行からの返済予定表や借入金一覧表と試算表の残高が一致しているかを確認する
    減価償却期末に計上する予定の減価償却費をあらかじめ計算してお気、12で割った金額を、仮の償却費として計上する

     

     

まとめ

 今回はバックオフィスである経理業務の月次試算表の作成について説明をしましたがいかがでしたか。業績好調な会社ほど、月次決算書の仕上がりが早く、内容が正確です。ですから、月次決算書の内容と扱いを見れば、その会社の実力が大体分かります。月次決算書の精度の良し悪しで、経営マネジメントの基本になるPDCAサイクル・現状認識・将来予測の精度が決まるので、常に正確性と迅速性を追求してください。これらの項目が、誰が見ても分かるように記載されている必要があります。管理業務の負担を減らすためには、クラウドサービス等の業務効率化ツールを導入してみるのも1つの方法です。そういったお金の管理の仕事を円滑に行うには、簿記の資格取得がおすすめです。働きながら勉強できる資格なので、経理担当としての成長を願うなら資格取得や複業で他社の業務に携わってみてはいかがでしょうか。

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