連結決算業務についてご紹介~決算準備~

経理や財務の部署に所属すると、様々な業務が出てきます。決算を取りまとめ、財務諸表を作り、分析することで次の会社のアクションに繋げるということは、まさに経営スタッフそのものの仕事です。スケジュールを守るためには、誰とどのような段取りをしておけばいいのかを考えます。 経理の社員は、企業にとって価値を提供することができます。そこで今回は連結決算業務の決算準備についてご紹介を致します。

決算準備

連結決算対象会社の判定

 連結決算事前準備の段階で収集した情報に基づき、連結会社に該当するかどうかの検討を行います。

連結子会社の範囲

①親会社が議決権の過半数(50%超)を所有している。
②親会社が議決権の40%以上50%以下を所有していて、かつ一定の事実に該当する。
③親会社と実質的に一体と認められる者が認められるが議決権の過半数を所有し、かつ一定の事実に該当する。

関連会社の範囲

①親会社が議決権の20%以上を所有している。
②親会社が議決権の15%以上20%未満を所有していて、かつ一定の事実に該当する。
③親会社と緊密な者等が所有する議決権の合計が20%以上であり、かつ一定の事実に該当する。

 

上記のように、連結対象会社の判定は複雑になっているため、早期に作業することが望まれます。

連結決算方針の策定

 連結会社における会計処理の方法について確認をします。重要な会計方針や注記事項、会計方針の変更がある場合には、その影響額などを確認します

重要な会計方針には、次のようなものがあります。

  • 棚卸資産の評価方法および評価基準
  • 有価証券の評価基準および評価方法
  • 固定資産の減価償却の方法
  • 繰延資産の処理方法
  • 引当金の計上基準
  • その他、財務諸表作成のための基本となる重要な事項など

決算スケジュールの策定

 決算発表日等を基準に、各社のデータ送信日などの締切日を設定します。財務諸表データの送信を優先して、順次、注記事項等の締切日を設けるようにします。

また、連結決算の作業の担当も分担し、作業が滞りなく進むようにします。連結財務諸表、セグメント情報、連結キャッシュフロー計算書の担当者等、項目ごとに分担を決める方法等があります。

関係会社への事前の説明

 上記で決定した決算方針や決算スケジュール等を各社へ連絡し、周知徹底します。
また、必要に応じて決算説明会を開催し、各社の経理担当者との打ち合わせの機会を設けるようにします。

 

ワンポイント

過年度遡及会計

 過年度遡及会計とは、会計方針や表示方法の変更、過去の誤謬の訂正があった場合には、過去の財務諸表に遡って適用していたかのように会計処理または表示の変更等を行うことを言います。

以前は、会計方針の変更や過去の誤謬の訂正に関する影響は、当期の決算書の特別損益(前期損益修正額)として計上されましたが、現在はこれらの影響を前期以前の決算に反映させるため、原則として前期損益修正額には計上されません。

 

まとめ

以上のように、連結決算は、複数ある子会社や関連会社の決算をもとにして行います。通常、連結決算を公表する期限があるため、各子会社や関連会社において、余裕を持ったスケジュールを組んでおきましょう。
また、親子間の取引や子会社間の取引など、連結特有の調整を行うために必要な情報を効率的に入手することができるように事前にパッケージを作っておくなど、準備をしておく必要があるでしょう。子会社の経理担当などに不慣れな者がいれば事前にレクチャーしておくことも連結決算をスムーズに進める上では大切です。

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