売掛債権管理についてご紹介~売上値引き・割り戻し~

日ごろ、「値引」や「割引」といった言葉をよく耳にします。会計用語として、「割戻(わりもどし)」という言葉もあります。これらはすべて商品、サービスの価格を下げることを指しますが、その理由が異なります。今回は、そんな「値引」「割引」「割戻」の違いについてご紹介を致します。

売掛債権管理

売上値引き、売上割戻し、売上値引き

①売上値引き

売上値引きは、商品の品質不良、破損等の理由によって販売代価から控除されるものを言います。したがって、当初の商品などについて損傷があったことにより、他の商品等と取り替えた場合は、とくに売上金額を修正する必要はありません。

②売上割り戻し

売上割り戻しは、販売実績や代金回収高に対して一定の金銭を支出することをいいます。一般的にはリベートと呼ばれています。

③売上割引き

売上値引きとは、売掛金等、未収の販売代金を、入金期日よりも早期に入金してもらった場合に、一定の金銭を支出するものを言います。そう既入金の対価としての支払利息に似ている性格をもっています。

売上値引き・売上割引きと割戻しの計上時期の違い


①売上値引き・売上割引き

商品等の販売時期に関係なく、値引きや割引が行われた事業年度で計上します。 

②売上割戻し

税法上の割り戻しの計上時期は、相手方との契約内容に基づいて判定します。例えば、算定基準が販売価格によっており、かつ、その基準が相手方に明示されている場合には、原則として販売日の属する事業年度の損金になります。その場合においても、特例として、継続適用を条件に、割り戻しの通知日または支払日の属する事業年度の損金とすることも可能です。

売上値引き・売上割り戻し・売上割引きの仕訳方法


値引き・割り戻しの仕訳方法は2通りあり、直接控除法と間接控除法があります。

①直接控除法

(借方)売上      ×××(貸方)売掛金   ×××

②間接控除法

(借方)売上値引き   ×××(貸方)売掛金   ×××

 

直接控除法の場合は売上高から直接控除し、間接控除法の場合には売上高の控除項目として売上とは別に記帳します。
なお、売上割引きは早期回収に対する金融上の費用(金利と同様)としての性質をもつため、営業外費用として取り扱います

内部統制


売上値引きと売上割戻しは商品の動きを伴わないので、不正のもととなりやすく注意が必要です。内部牽制を図るためのポイントとしては、次の点があります。

  1. 販売担当者に申請書を提出させ、上長の承認後、決済を行う。その際、添付資料として、算定根拠となる証憑や契約書等とも照合するようにする。
  2. 決裁は銀行振込や売掛金との相殺処理を行い、現金での支払いを避ける。

 

まとめ


リベートには、割戻金・手数料・賄賂といった意味が含まれています。リベートは、定められた水準を越してしまうと独占禁止法違反に問われる可能性があります。税務上は、割引よりも割戻か値引で処理する方が得であるとされています。
割戻は、たくさん購入した、まとめて買ったときなどに発生する処理のこと。
割引は支払期日より早く支払うことで発生する処理です。
大まかにはどちらも割引なのですが、内容は異なります。そのため仕訳で分けることで、何があって割り引きされているのかが明らかになります。きちんと使い分けることで、仕訳をスムーズに行うことができるようになります。こちらに不手際があったのか、また相手に不備があったのかも、ここで確認できますので、きちんと行うようにしましょう。

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