経理の基本~借入金やローンの残高を管理する~

 今回はバックオフィス業務である経理のお金の管理、借入金やローンの残高を管理についてご紹介致します。単に「残高」という言葉だけ聞くと、一般的には銀行に預けているお金(預金残高)を想像する人が多いでしょう。では、カードローンにおける「借入残高」とは、どういう意味なのでしょうか。借入残高をきちんと把握しておかないと、後でトラブルになってしまう可能性があります。この記事では、借入残高の確認方法や、きちんと確認をすることの必要性を解説します。カードローンなどでお金を借りることを検討している人は、どのように借入残高を把握し、管理していけばいいのかを事前に理解しておくひつようがあります。これから経理担当者として働きたいと思っている方はぜひ参考にしてみてください。今回はそんな支払い業務についてご紹介致します。

借入金やローンの残高を管理する

融資やリースなどの負債項目は、返済条件が決まっているので、一覧表をつくって、資金がショートしないように気を付けます。

  • 作成する書類
    ・借入金一覧表
  • 用意する書類
    ・借入金返済予定表(証書借入の場合)
    ・手形の控え(手形借入の場合)
    ・ローン支払予定表
    ・リース支払予定表

銀行融資の基本を知る

  1. 金融機関からの融資
    次の4つがあり、返済期限や返済方法が違います。

    種類特徴
    証書借入銀行と「金銭消費貸借契約書」を交わして融資を受ける。返済は、1根に上の長期にわたって、利息と一緒に分割して支払う。金利や返済回数、返済方法、毎月の返済額など、契約書に記載されている通りに支払うが、約定通りに支払えないと「期限の利益」を失い、一括で返済しなければならない
    手形借入最初に「銀行取引約定書」を交わし、以後は手形を銀行に差し入れて融資を受ける手形の期限が来たら、一括で返済する。利息も、融資時に一括で支払う。通常、返済期間は1年以内の短期で設定するが、返済期限がきても返済せず、新しい手形を差し入れて、融資を継続するのが一般的
    手形割引他の会社から受け取った手形を銀行が買い取ることによって、資金を受け取る融資方法
    当座貸越銀行と「当座貸越契約」を結んで、融資の限度額を設定する。会社は限度額までは、自分の都合で好きなときに借りたり返済したりを繰り返すことが出来る
  2. 借入金一覧表を作成する
    融資を受けたら、仕入れなどの支払いと違って、会社の業績に関係なく、契約時の約定どおりに返済していかなくてはなりません。返済期日に賃金がショートないよう、借入金ごとの返済計画を一覧にまとめて、「借入金一覧表」を作ります。借入金一覧表は、融資ごとに返済期日・返済金額・残高が分かるように、エクセルで作成します。証書借入の場合は銀行から送られてくる返済予定表どおりに、手形借入の場合は手形に返済期日が記載されているので、手形の控えを見て記入していきます。また返済計画が確定しているのは銀行からの融資だけではありません。ローンやリースも証書借入と同じように返済予定表が送られてくるので、案件ごとに「借入金一覧表」に記載し、銀行の残高が不足しないように注意します。

●銀行融資を受けたときの仕訳例

借方貸方
普通預金  5,000,000短期借入金または長期借入金  5,000,000

●証書借入の返済をしたときの仕訳例

借方貸方
短期(長期)借入金  100,000
支払利息  20,000
普通預金  120,000

ローンを組んだとき

  • ローンとは
    自動車などを購入して分割で支払う場合、銀行融資と違って、いったん融資金が銀行に振り込まれる訳ではありませんが、ディーラーやメーカーから融資を受けたのと同じ意味合いになります。契約によって、返済方法や返済期日が決められるのも銀行融資と一緒です。ローン会社から送られてくる返済予定表には、金利込みの金額で記載されていることが多いので、本体価格だけでなく金利も含めて「車両運搬具」として仕訳します。勘定科目は、「借入金」ではなく、「未払金」を使います。

●自動車をローンで購入したときの仕訳例

借方貸方
長期借入金  3,500,000現金(頭金)  300,000
未払金  3,200,000

●ローンを支払ったときの仕訳例

借方貸方
未払金  100,000普通預金  100,000

ファイナンス・リースと消費税

日本のリース取引のほとんどは、「所有権移転外ファイナンス・リース取引です。リース期間が満了したら物件をリース会社に返却しますが、再リース料を支払ったり、買い取り費用などを支払って購入することもできます。
税務上、ファイナンス・リース取引は、売買があったものと扱われるので、消費税を計算するときは、リース資産の引き渡しを受けた年度に、リース料総額に対する仕入税額控除をします。

リースで資産を購入したとき

  • リースとは
    会社の代わりに自動車や設備をリース会社が購入し、長期にわたって賃貸する取引のことです。融資が金融機関からお金を借りるのに対して、リースはリース会社から物品を借りるという違いがありますが、経済的な効果は融資と同じです。融資と同じように、毎月のリース料やリース期間などは「リース契約」で定められており、中途解約はできないのが一般的です。毎月支払うリース料と最終の支払期日をリース契約書で確認し、「リース管理台帳」に記載します。

●リース料を支払ったときの仕訳例

借方貸方
リース料  100,000普通預金  100,000

 

まとめ

 今回はバックオフィスである経理業務の支払い業務について説明をしましたがいかがでしたか。創業した後、会社が大きくなるにつれて、数次の借入を実施したり、安定的な資金調達先を確保するために資金調達先を多様化させたり、金利動向を睨みながら借入期間を小刻みにしていったりといった事情から、いつの間にか取引銀行や借入契約数も増えてしまった会社も多く見受けられます。しかし、そうした状況となっている会社が借入金管理をすることなく、放置してしまっているといつの間にか資金効率の悪化や資金調達コストの増大といった不効率な資金調達・資金運用に陥ってしまいます。そうした状況を招くことのないように会社の借入金を上手に管理するには、エクセルなどで複数の銀行やその銀行ごとの結んでいる借入契約を見やすいように借入金一覧表を作成しておくことをおすすめします。管理業務の負担を減らすためには、クラウドサービス等の業務効率化ツールを導入してみるのも1つの方法です。そういったお金の管理の仕事を円滑に行うには、簿記の資格取得がおすすめです。働きながら勉強できる資格なので、給与経理担当としての成長を願うなら資格取得や複業で他社の業務に携わってみてはいかがでしょうか。

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