経理の基本~証憑類を整理して保管する~

 今回はバックオフィス業務である経理のお金の管理、証憑類の整理して保管についてご紹介致します。証憑書類とは「取引の証拠として発行される書類」です。「証拠」という特性上、代表的なファイリングの対象書類といえます。多くの証憑書類には税法によって保管期間が定められているため、ファイリングの際には注意が必要です。これから経理担当者として働きたいと思っている方はぜひ参考にしてみてください。今回はそんな支払い業務についてご紹介致します。

証憑類を整理して保管する

領収書などの証憑は、一定期間、保管しておかなければなりません。

  • 作成する書類
    ・領収証ファイル
    ・請求書(売上)ファイル
    ・見積書ファイル
    ・請求書(支払)ファイル・カード明細書ファイル
  • 業務の時期
    ・日々

証憑類の保管の仕方

主な書類の保管期限

保存年限文書の種類
永久
  • 定款、株主名簿、社内規定
  • 登記書類
  • 官公署への許認可関係の届出文書
  • 稟議書、重要な決裁事項の記録
  • 役員・従業員の人事に関する重要な文書
  • 労働協約に関する文書
10年
  • 株主総会議事録、取締役議事録
  • 満期又は解約となった契約書
  • 決算書(貸借対照表、損益計算書など)や勘定元帳など重要な書類(会社法で定める保存期間)
7年
  • 帳簿(仕訳帳、売掛帳、手形など)
  • 決算関係書類(税法で定める保存期間)
  • 請求書・領収書・給与等の書類
  • 給与所得者の扶養控除等申告書ほか
  • 源泉徴収簿
5年
  • 従業員の身元保証書、契約書等
  • 産業廃棄物管理票(マニフェスト)
  • 一般健康診断個人票
4年
  • 雇用保険被保険者関係届出書類
3年
  • 労働者名簿、賃金台帳、雇入、解雇、退職、災害補償、賃金、そのほか労働関係に関する重要書類
  • 労災保険関係の成立に関する書類
  • 労働保険料の徴収・納付に関する書類
  • 郵便物などの受発信簿、什器台帳

※文書の保存期間は法令で定める基準に従います。それ以外の文書は、会社ごとに重要度に応じてルールを定めます。保存期間の過ぎた文書は、シュレッダーをするか溶解箱に入れて廃棄します。

  1. 領収書を整理する
    領収書は、月別にまとめて保存します。領収書には、現金で払ったものだけでなく、カードで支払ったもの、銀行から自動的に引き落とされたもの、銀行から振込んだもの、インターネットで支払った者等、しh来の方法により、形式や大きさがまちまちです。支払の方法によって、領収書を分類する必要はありません。ただし、税金や社会保険料の納付書等は、他の領収書と分けて保管すると後で確認するときに便利です。
    領収書の整理は、後で支払いの事実を確認する必要があった時に、以下に探しやすい方法で保管するかがポイントです。そのためには、領収書の支払方法や支払の内容で分類するのではなく、「年度ごと」「月ごと」「日日ごと」に整理し、保存するのが最もお勧めです。保管方法としては、次の2通りがあります。領収書の保存期間は7年なので、期間がきたら溶解ボックスに入れて、廃棄します。
    ①月ごとに袋に入れ、会計年度ごとにまとめて保存箱に入れる

    ②A4コピー用紙に、日付順にのり付けする。A4用紙にパンチで穴を開けて、月ごと(会計年度ごと)に、綴りひもで綴じる
  2. 請求書(売上)をファイルする
    請求書(売上)は、入金サイトが取引先によって異なるので、会計期間に関係なく、取引先ごとにバインダーをつくって保管します。たまたまスポットで取引したような会社の場合は、「スポット取引」というタイトルのバインダーを作って保存しますが、年に数回でも継続的な取引が見込めるなら、人るの取引先に対して、バインダーをひとつつくります。バインダーの背表紙には、取引先の会社名と管理番号を記載しておきます、子の管理番号は売掛金台帳に記載するときも、会計ソフトに入力するときも、同じ番号を使用するので、採番のルールを決めておきましょう。
    入金があったら請求書の余白に「入金日」と「振り込まれた銀行や支店名」を赤色などの目立つインクで記入しておきます。請求書は、発行した順番にしたから順番に綴じていきますが、約束の期限までに入金がないものは、「未収分」というタグをつけて常にファイルの1番上に来るように入れ替えておきます。

    電子で保存したい場合

    総勘定元帳や決算書など、会社が作成した帳簿書類は、一定期間、紙による保存が義務付けられています。しかし、会社がコンピュータを使って書類を作成している場合、一定の要件を満たせば電子で保存することもできます。また領収書や請求書、見積書などの証憑は、タイムスタンプ機能があるなど一定の条件を満たしたスキャナーを使えば、スキャナーによる保存も認められています。
    電子保存の適用を受けるためには、事前に税務署長の承認を受けなければなりません。

  3. 見積書をファイルする
    見積書も請求書と同じように、取引先ごとにバインダーを作って保管します。発行したすべての見積に対して、請求が発生するわけではありませんし、請求書の金額が見積書と一致するとも限りません。そこで請求漏れを起こさないために、見積書発行時に私用した見積番号を請求書にも記載しておき、見積書と請求書を対応させて管理することが大切です。見積書を作ったのに請求書の控えがないときは、営業や業務の担当者に受注の有無を確認し、受注がなかったことが確定したら「請求無し」等と記入しておきます。
  4. 請求書(支払)をファイルする
    請求書(支払)は、支払いサイトが決まっているので、相手先ごとではなく、月ごとにバインダーを作って保管する方が便利です。バインダーの背表紙には、発生月ではなく支払月を記載します。会計ソフトに入力するときは、発生月で仕訳をするので、相手先ごとに「当月払い」と「翌月払い」、「翌々月払い」など、支払いサイトが混在している会社は、ひと工夫が必要です。その場合は、1冊のバインダーにインデックスをつけ支払いサイトごとに請求書をまとめておきます。
    請求書の余白に決済印を押してもらい、決済印のないものは支払わないなどのルール作りが大切です。支払が終わったら、請求書の余白に「支払日」「振込や現金などの支払方法」「使用した銀行や支店名」を、赤字など目立つインクで記入しておきます。
  5. 契約書をファイルする
    契約書は「基本契約」「不動産契約」「金銭消費貸借契約」など、契約の内容に応じてバインダーをつくり保管します。バインダーの背表紙を見れば、どんな内容の契約書のファイルなのか、一目でわかるような文言を記載しておきます契約期間が過ぎたものは、契約書ファイルから外して、「契約終了ファイル」を作成して移動します。契約終了ファイルは年度ごと作成し、廃棄の期限が来たら溶解箱に入れて廃棄します。

 

まとめ

 今回はバックオフィスである経理業務の支払い業務について説明をしましたがいかがでしたか。経理業務ではさまざまな書類を扱います。書類は日々の業務によって蓄積されていくため、保存方法はルール化しておかないと煩雑化し、必要なデータを取り出せなくなったり紛失してしまったりする危険が伴います。 時間軸による保存や種類ごとによる保存がおすすめです。書類の保存は税務上定められているため、その期間内は必ず保存しておきましょう。管理業務の負担を減らすためには、クラウドサービス等の業務効率化ツールを導入してみるのも1つの方法です。そういったお金の管理の仕事を円滑に行うには、簿記の資格取得がおすすめです。働きながら勉強できる資格なので、給与経理担当としての成長を願うなら資格取得や複業で他社の業務に携わってみてはいかがでしょうか。

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