年末調整の基本~「給与所得者の配偶者控除申告書」を回収~

 今回はバックオフィス業務である年末調整の流れについてご紹介致します。その年の合計所得金額(見積額)が1,000万円以下でかつ、同一生計の配偶者の合計所得金額(見積額)が133万円以下の人は、配偶者控除もしくは配偶者特別控除の適用を受けることができます。基礎控除や給与所得控除の見直しにあわせて、他の控除にかかる合計所得金額要件も改正されています。改正後も年収ベースでの変更は無いため、合計所得=給与所得のみならば、改正前後で該当・非該当に変動はありません。(給与所得控除が10万円減額された⇒給与収入が±ゼロでも所得は10万円増となるため)合計所得に給与所得以外が含まれると、改正前後で非該当から該当になりうる可能性があります。この時期になると、うんざりする担当者も多いのではないでしょうか。今回はこういった年末調整の基本についてご紹介致します。

 

給与所得者の配偶者控除申告書を回収

配偶者控除は、本人と配偶者両方の所得をチェックしてから計算します。

  • 配布する書類
    ・給与所得者の配偶者控除等申告書(配偶者控除申告書)
  • 検索場所
    国税庁/[手続名]給与所得者の配偶者控除等の申告
  • 配布時期
    ・11月15日ごろ
  • 回収の時期
    ・11月末ごろ
  1. 「給与所得者の配偶者控除申告書」を配布する
    配偶者控除または配偶者特別控除の適用を受けたい人が提出する書類
  2. 「給与所得者の配偶者控除申告書」を回収する
    今年度、最後に支払う給料または賞与の2週間前には、回収する
  3. 記入漏れや添付漏れが無いかを確認する
    印鑑の押印漏れや明らかな記入ミスがあったら、本人に連絡する。

「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」の基礎を知る

  1. 基礎控除とは
    扶養家族や障碍者の有無にかかわらず、すべての人に適用される控除です。ただし、所得が2,500万円を超える人への適用あありません。控除額は納税者本人の所得に応じて決まります。
  2. 配偶者控除とは
    納税者本人の所得が1,000万円以下でかつ、配偶者の所得が48万円以下の場合に適用される控除です。控除額は給与所得者本人の所得と配偶者の所得に応じて決まります。「所得金額」は、給与の額面金額から給与所得金額をマイナスして計算します。
  3. 配偶者特別控除とは
    配偶者の所得が48万円を超えるため配偶者控除が受けられない場合でも、所得金額に応じて段階的に控除が受けられる制度です。納税者本人の所得が1,000万円を超える人、または配偶者の所得が133万円を超える人には適用がありません。本人と配偶者の所得に応じて決まります。

配偶者特別控除の控除額

 

 

控除を受ける納税者本人の合計所得金額
900万円以下900万円超

950万円以下

950万円超

1,000万円以下

配偶者の合計所得金額

 

48万円超 95万円以下38万円26万円13万円
95万円超 100万円以下36万円24万円12万円
100万円超 105万円以下31万円21万円11万円
105万円超 110万円以下
26万円18万円9万円
110万円超 115万円以下21万円14万円7万円
115万円超 120万円以下16万円11万円6万円
120万円超 125万円以下11万円8万円4万円
125万円超 130万円以下
6万円4万円2万円
130万円超 133万円以下3万円2万円1万円

 

まとめ

 今回は年末調整の中でも年末調整の給与所得者の配偶者控除申告書を回収についての基本的な説明をしましたがいかがでしたか。基礎控除額の引き上げに対応する形で、平成30年度税制改正に伴い、給与所得控除額は一律10万円引下げられる事になりました。基礎控除額の引き上げを相殺する結果となりますが、これは基礎控除額引き上げの狙いが政府の「働き方改革」促進の観点から個人事業者を拡大するためとされています。また、給与所得控除額は「高額給与所得者に対する控除額が過大である」という税制調査会の見解を受けて、平成25年以降段階的に上限額が引き下げられており、令和元年では給与年収1,000万円が頭打ちラインとなっていましたが、今年は頭打ちラインが850万円に引き下げられています。管理業務の負担を減らすためには、クラウドサービス等の業務効率化ツールを導入してみるのも1つの方法です。そういった給与計算の仕事を円滑に行うには、社会保険労務士の資格取得がおすすめです。働きながら勉強できる資格なので、給与計算の担当としての成長を願うなら資格取得や複業で他社の業務に携わってみてはいかがでしょうか。

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