在宅勤務中に安全衛生上で配慮すべきポイント

 新たにテレワーク(リモートワーク)を導入しようとする事業者や、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて急いでテレワークを導入したものの、導入について十分な検討をする時間がなかった事業者向けに、テレワークに伴って生じうる労務・法務・情報セキュリティに関する問題点を簡単に記載致します。今回は、在宅勤務中に社員の安全衛生法上配慮しなければならないのか、テレワーク(リモートワーク)の導入手順時の労災・安全衛生のギモンについてをご紹介致します。

 

テレワーク中の安全衛生


テレワークの勤務者においても労働関連法は適用されますので、従業員の安全衛生に関して定めた労働安全衛生法も当然適用されます。

つまり、テレワーク勤務者にも、安全衛生の基本的な事項、例えば雇い入れ時の健康診断、ストレスチェックの実施、長時間労働者に対する面接指導などは必要になります。テレワークだからといってこうした定期健康診断などを実施しなくていいといったことにはならないのでご注意ください。

 

また、厚生労働省より「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」というPC作業等を行う場合に留意すべき事項がまとまったガイドラインが発行されています。もともとこのガイドラインは平成14年から「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」として運用されていたもので、2019年に17年ぶりに改訂されたものです。スマートフォンやタブレット端末の普及等ITを取り巻く状況は大きく変わっており、時代に則したガイドラインとするため改定がなされました。テレワーク勤務者については、この「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」に準じた管理をすることが望ましいとされています。

 

情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインの内容


では具体的に「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」には何が記載されているのでしょうか。

通常、オフィス環境については、十分な照明や空気換気、オフィスデスクなど労働者が快適に作業できるような環境が実現されていますが、従業員の自宅についてはそのような環境が十分に実現されているとは限りません。つまり部屋の照明が暗すぎたり、極端に小さな机で作業をしていたりする場合等従業員の作業に支障が生じる可能性があります。

こうしたことを防ぐための基準がガイドラインでは設けられています。ガイドラインの基準では作業環境管理(照明、パソコン等の機器、椅子・机)と作業管理(作業時間m作業姿勢、ディスプレイなどの機器の調整)の二つのカテゴリについて細かく記載されていますが、それらをまとめたイメージ図も厚生労働省より策定されています。分かりやすいので、実際に従業員に周知する際にはこのような図を使用するのもいいでしょう。

また、本ガイドラインでは、事業者はメンタルヘルスや健康上の不安、慢性疲労などに対し健康相談の機会を設けるよう努めるようにといった記載もあります。全てを義務付けるというわけではありませんが、テレワーク勤務者の安全に配慮するという趣旨は理解しておきましょう。

特に、新型コロナウイルスによる感染症の拡大防止などの理由で長期間にわたる在宅勤務を行わせる場合には、こうした配慮がより一層求められると考えられます。会社から在宅勤務者に一時金の支給を行い、作業用のいすを整備したり、使いやすいキーボード・マウスを購入するために充ててもらったりして、快適なテレワーク環境を整備してもらうという施策を以前に紹介しましたが、こうした取り組みは安全衛生の観点でも望ましい対応といえます。

 

まとめ


 上記までにご紹介致しました通り、テレワークを実施については労災・安全衛生について頭を抱える方も多いのではないでしょうか。企業はテレワークの就労形態に伴った対応が必要となります。テレワークの推進には、就業規則等の制度面だけでなく、従業員のITリテラシー向上も必要です。この機会にITスキルの可視化を行ってみてはいかがでしょうか?

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