採用事務の基本~社会保険・雇用保険の加入手続き~

 今回はバックオフィス業務の採用事務の基本である社会保険・雇用保険の加入手続きの基本についてご紹介致します。社会保険・雇用保険の手続方法や、従業員から提出してもらう書類の種類や期限をご存知でしょうか。今回は、社会保険に含まれる、労災保険・雇用保険・健康保険・介護保険・厚生年金についての説明とともに、各種保険の手続方法についてご紹介致します。

 

社会保険の加入手続きをする

正社員や勤務時間の長いパートを採用した時には、社会保険に加入する手続きをします。家族を扶養する場合は同時に手続きをするので、忘れずに確認します。

  • 対象者
    ・全員
    ・パート
    1日の労働時間・1か月の所定労働日数が正社員の概ね4分の3以上(学生アルバイトも対象)
  • 作成する書類
    ・健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
    ・健康保険 被扶養者(異動)届
    ・国民年金 第3号被保険者関係届(20歳以上の配偶者)
  • 提出先
    所轄の年金事務所(事務センター)
  • 期限
    資格取得の日から5日以内
  • 添付書類(従業員から受け取るもの)
    ・従業員と家族の個人情報がわかるもの(住民票の写しなど:氏名・住所・生年月日・家族の職業・収入)

    ・マイナンバー([通知カード+免許証]もしくは[個人カード])
    【扶養家族がいる場合】
    ・家族のマイナンバー
    ・年金手帳写し(20歳以上の場合)
  • 検索場所
    日本年金機構/資格取得届

社会保険の基礎を知る

  • 社会保険とは
    健康保険・介護保険(40歳以上)・厚生年金保険の総称です。健康保険に加入すると医療費の給付を受けられる「被保険者証」が届きます。介護保険は40歳以上になると保険料の負担者となります。厚生年金保険は将来の年金や就労期間中の死亡や障害に備えるものです。目的はそれぞれ異なりますが、手続き書類は1枚で済みます。ただし、会社が独自の健康保険組合に加入している場合はこの限りではありません。

社会保険加入の手続きの仕方

  1. 「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」に記入する
    この1枚で健康保険・介護保険・厚生年金保険の手続きが出来ます。入社から5日以内に、管轄の年金事務所(事務センター)に提出します。
  2. 扶養家族の手続きをする
    20歳以上の配偶者(国民年金第3号被保険者)とそれ以外の家族(子どもなど)の手続きです。「健康保険 被扶養者(異動)届・国民年金 第3号被保険者関係届」、1枚の書類で手続きができます入社の時だけでなく、結婚や就職、離職によって途中で手続きすることもあります。
    【配偶者】
    事実婚も含まれます同居・別居によって要件が異なります。

    どう許か別居か対象者の年収
    同居対象者(配偶者)の年収が130万円未満かつ被保険者(従業員)の年収の2分の1未満
    別居対象者の年収が130万円未満かつ被保険者(従業員)の仕送り額未満

    ※仕送りの額は通帳コピーなどで確認される

    ※【国民年金第3号被保険者】
    会社員や公務員などの国民年金第2号被保険者に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者(妻・夫)のこと。20歳以下の配偶者の場合は3号に該当せず、子どもと同様の被扶養者になる。
    【配偶者以外】
    「健康保険 被扶養者(異動)届」の手続きをします。ちなみに、配偶者以外の被扶養者とは次のような人たちになります。

    1. 配偶者・子・孫・父母・祖父母
    2. 同居し、従業員が生計を維持している③親等内の親族
  3. 社会保険料について
    従業員の社会保険料は、扶養家族が何人いても金額が変わりません。国民年金第3号被保険者(配偶者)も負担はありません。

 

雇用保険の加入手続きをする

社会保険は正社員や時間の長いパートが加入するのに対し、雇用保険は週20時間以上の勤務であれば加入することが出来ます。社会保険の加入要件の違いに留意しながら手続きを行います。

  • 対象者
    ・正社員
    全員
    ・パート
    勤務開始から31日以上働く見込みがあること。1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 作成する書類
    ・雇用保険 被保険者資格取得届
  • 提出先
    所轄のハローワーク
  • 期限
    雇用した日の属する月の翌月10日まで
  • 提出する書類
    ・雇用保険 被保険者証(前職退職時に受取ったもの)
  • 検索場所
    ハローワーク/雇用保険被保険者資格取得届

雇用保険の加入手続き

  1. 優先順位を考える
    社会保険の届出は、健康保険証を早く手渡す必要があることからなるべく早めに手続きをする必要があるのに対し、雇用保険はそれほど急ぐ必要がなく、期限も入社月の翌月10日になっています。逆に早めに手続きをし過ぎたことによって前職の離職の手続きが取られていなかったということもあるので優先順位を考えて手続きをしましょう。
  2. 従業員情報を集める
    「雇用保険被保険者番号」は転職しても変わることはありません。前職を退職した際に受取った「雇用保険被保険者証」を提出してもらい、番号を紐づけて手続きを行います。ただし、前職との間に7年以上のブランクがあるときは新規で番号をつくることになります。紛失してしまった場合等は前職の名前を伝えれば検索してもらうこともできます。
  3. 「雇用保険被保険者資格取得届」の記入
    ハローワークでOCRの用紙をもらって鉛筆で記入して窓口に提出することもできますが、ハローワークのホームページの入力画面から入力すると、帳票が自動作成されるので便利です。
  4. 届出後け
    次の書類が届きます。
①雇用保険被保険者証新たな就職先の番号・社名の入った被保険者証に変わる。本人に渡すと紛失してしまう可能性が高いので、会社で保管し、退職時に本人に渡すようにする
②雇用保険被保険者資格取得確認通知書会社の控えとなる書類
③雇用保険被保険者資格喪失届・氏名変更届退職するとき・氏名変更するときの書類も資格取得時に届く。氏名と番号が入っているので退職日を書くだけで良い

 

まとめ

 今回は採用事務の基本である社会保険・雇用保険の手続きについて説明をしましたがいかがでしたか。2016年(平成28年10月)に短時間従業員の適用条件が拡大されたように、今後も社会保険に関する法改正が起こる可能性があります。社会保険の各種手続きをする際は、最新の適用条件について確認するようにしましょう。新しく従業員を雇い入れた際、その従業員が一定の基準を満たしている場合は社会保険に加入する必要があります。その際「雇用保険」は翌月の10日までに管轄のハローワークへ「雇用保険被保険者資格取得届」の提出、「健康保険・厚生年金」は5日以内に管轄の年金事務所へ「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」の提出を必ず忘れないようにしましょう。そのためには従業員から必要書類を期日までに提出してもらう必要があります。従業員の入社が決まったら早めに提出が必要な書類の連絡をしておくことが大事になってきます。

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