採用事務の基本~外国人を採用する場合~

 今回はバックオフィス業務である外国人を採用する場合の基本についてご紹介致します。パーソル総合研究所がおこなった「外国人雇用に関する企業の意識・実態調査」の結果が今、話題となっているのをご存知でしょうか。この調査によって、外国人雇用の優先度を高く考えている企業と、そうではない企業の二極化が進んでいることが明らかになりました。これまで人材の送り出し国であったアジアの国でも高齢化社会に向かう国が増える中、人材確保は年々難しくなっています。介護人材やIT人材を中心としたグローバルな人材獲得競争が激化する中、出遅れている企業は危機感を持たなければいけません。外国人雇用に取り組まなければ、採用や人材定着のノウハウが蓄積されず、将来的に外国人材が必要になった時には、自社が望むレベルの人材を確保できない可能性が高いといえます。今回は、このような外国人の募集・活用において気をつけるべき点についてご紹介します。

 

外国人を採用するとき

人手不足やグローバル化の影響で、外国人の雇用を検討する企業が増えています。目的とルールを整備して採用に結び付けるようにします。

  • 確認するもの
    ・在留カードのコピー
  1. 在留資格を確認する
    在留カードを提出してもらい、在留資格や在留期間が適しているか確認する
  2. 正社員として採用する場合
    「技術」「人文知識・国際業務」といった在留資格で、専門職又は特別な技術を持った人は就労ビザが取れ正社員として働くことが出来るため。逆に飲食業の接客などはできない
  3. 留学生の場合
    在留資格が「留学」のため、「資格外活動許可申請」を行えば働くことが出来るが、アルバイトの立場でしか働くことができない
  4. 永住者の場合
    永住者であれば、原則どのような働き方も可能
  5. 大学を卒業して就職しようとしている留学生
    専門性や特別な技術を身につけて働く場合、「就労ビザ」を取る必要がある
  6. 入社・保険加入の手続きを行う
    ・仕事の内容、勤務時間を確認して雇用契約書を作成する
    ・ハローワークへの届出は在留カードが必要。社会亥保険の加入要件は日本時と同じ。ローマ字表記の登録も必要になる

日本に住む外国人の求人から採用までの流れ

  1. 在留資格の確認方法
    在留カードとは、外国人にとっての身分証明書のようなもので、日本に中長期滞在している外国人はみんな持っているものです。採用しようとするときは、在留期間が超過していないか(契約期間内を通して確認)、在留資格が採用しようとしている業務に適しているかを確認します。希望するときは「資格外活動許可」を取ることが必要です。

    在留資格ごとの仕事の制限

    在留資格仕事の制限時間の制限
    外交、公用、芸術、医療、研究、教育など16種高度な業務
    (飲食店や小売店の販売などは×)
    労働基準法通り
    留学生アルバイト学生の身分にふさわしいもの留学生・就学生労働時間
    大学などの正規生週28時間以内
    大学などの聴講生、研究生週14時間以内
    専門学校生週28時間以内
    就学生1日4時間以内
    永住なし労働基準法通り
    特定活動ワーキングホリデー労働基準法通り
    技能実習80職種労働基準法通り
    特定技能【労働基準法通り】

    1. 1号受け入れ分野で相当な知識経験が必要(14業種)
    2. 2号受け入れ分野で熟練した技能経験が必要(建設・造船・船用工業)
  2. 「資格外活動許可申請」のしかた
    雇い入れようとしている外国人本人でも出来ますが、会社で申請することも可能です。雇い入れの前に、その外国人が住んでいる場所の管轄の入国管理官署に「資格外活動許可申請書」と「在留カード」(もしくはパスポート、在留資格証明書)を持参して申請します。おおむね1か月程度で許可がおります。
  3. 就労ビザの申請
    留学生が就職するときや海外に住む特定の専門知識のある外国人が日本で就職するときは就労ビザを取る必要があります。就労ビザは入国する外国人の出身国や就職先での仕事の内容によって細かい審査があるため、行政書士などの専門家に依頼するのがスムーズです。
  4. ハローワークへの届け出
    雇い入れの際には、「雇用保険被保険者資格取得届」の中にある外国人被保険者の場合の記載欄に、氏名(在留カードに記載されたローマ字)、在留資格(上陸許可証印に記載された通りの内容)を記載してハローワークに提出します。
  5. 年金事務所への届け出
    本人と被扶養者ともに、「資格取得」「氏名変更」「住所変更」の手続きをするためにアルファベット登録をしておく必要があります。

非居住者に対する源泉所得税

  • 非居住者に給料や報酬を支払う場合
    原則として20.21%(復興特別所得税を含む)の源泉所得税を天引きし、翌月10日までに納付しなければなりません。しかし、非居住者か居住者かの判定は、従業員や役員の国籍で判断される訳ではありません。非居住者とは、日本国内に住所も居所もない人や引き続き日本国内に居所を有している期間が1年未満の人のことです。したがって、外国人を採用した場合でも、1年以上の雇用契約を交わしている場合は、日本の居住者と同じように源泉所得税を計算します。

 

まとめ

 今回は採用事務の基本である外国人を採用する場合について説明をしましたがいかがでしたか。新型コロナウイルスの影響により目先としては多少落ち込むかもしれませんが、深刻な人手不足により、今後もますます外国人の雇用は進むと考えられます。2019年からはじまった特定技能の制度も、これまでの就労ビザのように専門的・技能的分野に限定せず、一定の専門性・技能を持つ即戦力となる外国人を受け入れていくことを目的としています。

採用担当
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