給料計算 明細書の発行と支払い

 今回はバックオフィス業務である給料計算の明細書の発行と支払いについてをご紹介したいと思います。取引において請求書を発行することはあっても、支払い明細書を発行したことはなかった。そんな書類必要なの?という方のために、本稿では支払い明細書について解説しています。結論から言うと支払い明細書を発行する義務は「ありません」。契約書や請求書などと違い、法律でこれといった規定はないため、支払い明細書を発行しなくても罰則を受けたりするようなことにはならいのです。では、何のために支払い明細書を発行するのでしょうか?今回はそんな明細書の発行と支払いについてご紹介致します。

 

明細書の発行と支払い

給料計算が終わったら、その計算根拠を一覧表にまとめて保管し、各人にそれぞれの明細書を交付します。

  • 作成する書類
    ・給料明細(個人別)
    ・賃金台帳(個人別)
    ・月額給料一覧表(会社全体)
  • 業務の時期
    ・給料支給日の3営業日前まで

給料明細と賃金台帳の作成をマスターする

  1. 個人別に給料明細書をつくる
    給料明細は紙に印刷して渡すのが原則ですが、従業員の同意があれば電子情報で交付することも可能です。
  2. 個人別に賃金台帳をつくる
    次の8つの事項を記載した賃金台帳を各人ごとに作成し、出勤簿及びタイムカードと一緒に3年間保管します。
    ①氏名
    ②性別
    ③給料の計算期間
    ④労働日数
    ⑤労働時間数
    ⑥時間外・休日・深夜労働時間数
    ⑦基本給・時間外手当その他支給項目の種類とその金額
    ⑧給料の一部を控除した場合は、その内容と金額

会計処理をマスターする

仕訳する

 現金を支払ったり税金を預かったりなど、複数の取引が発生しますが、次のように1つにまとめて仕訳します。

給料の仕訳例
借方貸方
給料手当

交通費

276,297

10,000

現金または未払金

預り金(所得税)

預り金(住民税)

預り金(健康保険料)

預り金(厚生年金保険料)

預り金(雇用保険料)

237,579

5,990

17,200

13,860

25,620

859

支給控除一覧表をつくる

給与ソフトに、「支給鵜控除一覧表」というメニューがあります。全従業員(と役員)の情報を月ごとに一覧にまとめたものです。支給控除一覧表を印刷して計算ミスがないか、下記の項目をチェックします。

チェックする項目チェック内容
入力新たな項目について計算が正しく反映されているか
人数入社・退職者・求職者の人数が一致しているか
年齢による社会保険の適用【介護保険】40~65歳までが控除の対象

【雇用保険】64歳まで

【厚生年金】70歳まで

【健康保険】75歳まで

社会保険料の変更料率の変更、算定や月変があった場合は正しく行われているか
勤怠単価昇給時に残業単価や不就労単価の改定は正しく行われているか
源泉所得税甲欄・乙欄は正しく選択されているか、扶養情報が正しく反映されているか
住民税住民税の合計額と納付書の合計額は一致しているか

 

まとめ

 今回は給与計算の中でも明細書の発行と支払いの基本的なを説明をしましたがいかがでしたか。支払明細書で取引内容を明らかにしておけば、取引先とのトラブルを回避し、円滑な請求処理を行うことができます。また、支払明細書は仕事で発生した経費精算にも用いられます。用途に応じてフォーマットは多少変わりますが、必要なのはいつ、どこで、誰が誰に何を支払ったのかという支払いの内容です。支払明細書を書くことになったら、書類の役割を意識しながら漏れなく必要項目を記載するようにしましょう。そういった給与計算の仕事を円滑に行うには、社会保険労務士の資格取得がおすすめです。働きながら勉強できる資格なので、給与計算の担当としての成長を願うなら資格取得や複業で他社の業務に携わってみてはいかがでしょうか。

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