給料計算 社会保険料や雇用保険料を控除する

 今回はバックオフィス業務である給料計算の社会保険料や雇用保険料の控除についてをご紹介したいと思います。給料から引かれる税金には、社会保険とは、健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の総称のことですが、主に会社員が対象となる健康保険と厚生年金保険を指して「社会保険」ということがあります。社会保険料や雇用保険料の計算方法や、控除によって給料から引かれる税金にどのくらい影響があるのか等についてご紹介致します。

 

社会保険料を控除する

社会保険料は給与額に応じた等級に基づいて決まるため、毎月の変動はありませんが、雇用保険は毎月の給料額に応じて計算されます。

  • 用意する書類
    ・厚生年金保険料額表(日本年金機構)
    ・健康保険料額表(協会けんぽ
  • 検索場所
    ・保険料額表:協会けんぽ/保険料額表
    ・雇用保険料率:厚生労働省/雇用保険料率
  • 業務の時間
    ・入社した時
    ・給料(固定給)が変わった時

社会保険料の計算をマスターする

  1. 社会保険料の計算
    社会保険料(健康保険と厚生年金保険料)は、給料の額を標準報酬月額表と照らし合わせ「標準月額」を確認します。そのうちの「折半額」(会社負担と本人負担を分けたもの)が控除額となります。
  2. 社会保険料の算定
    実際の給料額に料率をかけるのではなく、給料は段階的に「等級に」分かれているので、その等級ごとに保険料率が決まっています。等級に分かれた金額のことを「標準報酬月額」といいます。
  3. 40歳以上になると介護保険料が控除される
    40歳になると介護保険料が控除されるようになります。給料から保険料を控除するタイミングは「40歳の誕生日の前日がある月」からです。4月2日生まれの人は4月1日=4月分から控除しますが、4月1日生まれの人は誕生日の前日が3月31日なのえ3月分から控除することになります。介護保険料は40歳から65歳の誕生日の前日までが対象です。
  4. 通勤交通費も社会保険料に影響する
    標準報酬月額は通勤交通費も含まれます。定期券代など、1カ月の交通費が分かる場合は簡単ですが、パートなどは月のおおよその出勤日数から交通費を計算します。
  5. 給料から控除するタイミング
    法律上の決まりはありませんが、最初の給料日は保険料を控除せず、翌月から差し引いていくという方法が一般的です。社会保険料の納付が翌月末なので、それに合わせて前月分を控除するようにします。
  6. 退職時の保険料控除
    社会保険料の資格喪失日は「退職日の翌日」です。社会保険料は、資格を喪失した日(退職日の翌日)の属する月の前月までが発生します。

    退職日資格喪失日最後の給料での徴収
    5月31日6月1日4月分と5月分の2か月分
    5月30日5月31日4月分の1か月分
  7. 社会保険料の改定のタイミング
    固定的給料が2等級以上変更になった場合、4カ月目から保険料が変更になります。固定的給料が変更になったタイミングで、4か月後の保険料が変わることをリストアップしておくようにします。

雇用保険料の計算をマスターする

雇用保険料の計算

毎月の給料(交通費も含めた賃金の合計)に保険料率(従業員負担分)を掛けて計算します。控除のタイミングも社会保険のようにズレることがなく、入社付きから控除していきます。

年齢によって保険料の徴収が増えるタイミングとなくなるタイミング
年齢保険料の徴収など提出書類
40歳健康保険料に介護保険料控除が加わる特に無し
60歳退職→嘱託社員として再就職した場合
1等級でも下がったら、通常の月額変更ではなく翌月に保険料の変更を行うことが出来る(同月得表)
厚生年金・健康保険被保険者資格喪失届・資格取得届
64歳4月1日現在64歳であれば雇用保険料が免除特に無し
65歳介護保険料の徴収が終了
介護保険第1号保険者となる
特に無し
70歳厚生年金保険料の徴収が終了厚生年金保険70歳以上被用者該当届(標準報酬月額が変更になる時のみ)
75歳健康保険料の徴収が終了特に無し

 

まとめ

 今回は給与計算の中でも社会保険料控除と雇用保険料控除の基本的なを説明をしましたがいかがでしたか。社会保険と雇用保険では、目的はもちろん、従業員の加入条件も異なります。社会保険に比べて雇用保険の方が、対象者の幅がやや広いのが特徴です。短期や短時間の雇用形態の従業員がいる場合、個別に加入条件を見る必要があります。がもし未加入が発覚した場合は、早めに相談して対処することが望ましいでしょう。そういった給与計算の仕事を円滑に行うには、社会保険労務士の資格取得がおすすめです。働きながら勉強できる資格なので、給与計算の担当としての成長を願うなら資格取得や複業で他社の業務に携わってみてはいかがでしょうか。

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