今回はバックオフィス業務である所得税・住民税の控除についてをご紹介したいと思います。給料から引かれる税金には、所得税と住民税があります。では、差し引かれている税金はどのように計算されているのでしょうか。所得税と住民税のご説明と計算方法や、控除によって給料から引かれる税金にどのくらい影響があるのか等についてご紹介致します。
所得税を控除する
従業員や役員の源泉所得税は、会社が計算して手引きします。
- 用意する書類
・給料所得の源泉徴収税額表(月額表)
・給料所得者の扶養控除等の申告書
・通勤手当申請書 - 検索場所
・国税庁
・給料所得の源泉徴収税額表(月額表) - 業務の時間
・給料日の5営業日前まで
行うことの流れ
- 課税される金額を確認する
・福利厚生目的で経済的メリットを与えた場合、現物給料が支給されたものとみなされる - 非課税の手当てを確認する
・通勤手当など非課税となる手当が含まれている場合は、その分を除いて税金を計算する - 社会保険料の金額を確認する
・個人が負担した社会保険料は、課税所得から控除して計算する - 源泉徴収税額表の「月額表」を用意する
・給料から天引きする所得税は、国税庁のサイトに掲載されている「源泉徴収税額表」で確認する - 扶養控除申告書で不要の人数を確認する
・扶養家族がいたり、本人や家族が障碍者だったりすると税金が安くなる - 住民税の特別徴収決定通知書を確認する
・天引きする住民税の金額は、本人の住所地の区役所から送られてくる「通知書」で確認する
源泉所得税の基本を知る
所得税の計算
額面金額から「給与所得控除の金額をマイナスした金額に税率をかけて計算します。配偶者や扶養家族がいたり、障害がある場合は、さらに一定の金額を控除できます。
(給料の額面金額-給与所得控除の金額-所得控除の金額)×所得税率=源泉所得税
現物給料の税金計算
福利厚生目的で会社が経済的メリットを与えた場合は、所得税が課税される場合があります。(通常の支給額+現物支給額-控除の金額)×所得税率-現物支給額=現物支給額
現物休慮でも非課税となるもの
例外として、次のような場合は非課税となります。
制服などの支給 | 職務の性質上、制服を着なければならない従業員や役員に対して支給又は貸与される制服や身の回り品 |
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永年勤続記念品 などの支給 | 永年勤続の表彰で、おおむね10年以上勤務した従業員や役員に旅行券や記念品を支給する場合。ただし、旅行券は換金性があるので、次の要件を満たしていなければ課税
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社員旅行 | 4泊5日以内、かつ従業員(役員を含む)50%以上が参加 |
社宅 | 適正な家賃を徴収していれば非課税 |
非課税手当の基本を知る
通勤手当
最高15万円まではh課税。非課税となるためには実費であることが条件なので、定期のコピーなどを保存しておきます。自転車などで通勤している場合は、自宅から会社までの距離によって、上限が決まっています。
非課税となる交通費
区分 | 金額 | |
①交通機関または有料道路を利用している場合 | 実費(最高15万円) | |
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②マイカー・自転車通勤の場合 | 2km未満 | 全額非課税 |
2km以上 10km未満 | 4,200円 | |
10km以上 15km未満 | 7,100円 | |
15km以上 25km未満 | 12,900円 | |
25km以上 35km未満 | 18,700円 | |
35km以上 45km未満 | 24,400円 | |
45km以上 55km未満 | 28,000円 | |
55km以上 | 31,600円 | |
上記①②の両方を利用している場合 | ①と②の合計(最高15万円) |
食事手当
支給を受ける人が、食事代の半分以上を負担していて、かつ会社が負担した金額の合計が、3,500円(税抜)以内なら非課税です。
給与の源泉所得税の計算をマスターする
- 給与所得の源泉徴収税額表
該当する税額を探します。 - 扶養控除等申告書
扶養家屋の人数や障害の有無などを確認します。 - 源泉所得税を計算する
次のステップで計算します。
①「給与所得の源泉徴収額表の月額表」のページを開く
②給料の合計額から「天引きした社会保険料」をマイナスする
③左端の「社会保険料控除後の給与などの金額」欄であてはまる行を探し、甲欄の「扶養親族等の数」欄と交わる箇所を確認する
④そこに記載されている金額が天引きすべき所得税になる - 本人や扶養家族が障害者だったり、離婚して子育てしていたりする場合
それぞれ扶養家族が1人いると考え、扶養親族の数にさらに1をプラスして「扶養親族の数」欄を見ます。 - 乙欄
「扶養控除等申告書」を提出していない人は、「乙欄」を使います。 - 復興特別所得税
通常の所得税に、2.1%をプラスした金額を天引きします。税額表に記載されている金額は既に復興特別所得税が含まれています。
日払いや週払いで給料を払う場合の所得税
- 非正規雇用の人に日払いや週払で給料を支払う場合は「日額表」を使います。扶養控除申告書の提出が無い場合は「乙欄」税額を天引きします。
- 2カ月以内の短期雇用アルバイトや日雇い労働者への支払で2カ月以内のものは「丙欄」の金額を適用します。
住民税を控除する
本人が住んでいる地方自治体から送られてくる明細通りの金額を天引きします。
準備する書類
- 住民税特別徴収税額の決定・変更通知書
- 特別徴収に係る給与給与所得者異動届
特別徴収の基礎を知る
- 特別徴収とは
会社が住民税を天引きし、従業員に代わって納税する方式を「特別徴収」と言います。毎年、5月頃に各従業員が住む地方自治体から送られてくる「特別徴収決定通知書」の金額を使います。 - 年の途中で引っ越した場合
年の途中で引っ越した場合も、5月までは1月1日現在の住民票所在地の市区町村に納付します。
まとめ
今回は給与計算の中でも所得税控除と住民税控除の基本的なを説明をしましたがいかがでしたか。所得税は、転職したことで給料が増えたり減ったりした場合、所得税は毎月の給料の金額に応じて計算されているため、その金額にあった所得税が徴収されます。最終的には年末調整で1年間の源泉所得税が精算されるので、前の会社での給料と合計した結果、年末調整の還付額が増える場合と、年末調整で不足額が出る場合とがあります。毎月の給料に応じて計算している所得税に対して、住民税は前年の所得に対して課税されたものを分割して支払っているため、退職時に住民税額が残っていれば、最後の給料から一括徴収されるか、残額を自分で支払うことになります。また、退職した翌年が無職だったとしても、前年の所得に応じて住民税がかかるのでご注意ください。そういった給与計算の仕事を円滑に行うには、社会保険労務士の資格取得がおすすめです。働きながら勉強できる資格なので、給与計算の担当としての成長を願うなら資格取得や複業で他社の業務に携わってみてはいかがでしょうか。