給料計算の基本~給料から控除した税金を支払う~

 今回はバックオフィス業務である給料計算の給料から控除した税金を支払うことについてご紹介致します。企業は給料から税金を差し引いて払うことが義務付けられています。その額は、その人の家庭の状況などによって異なります。交通費は原則として税金がかかりませんが、社会保険料の計算には算入されます。今回はそんな給料から控除した税金の支払いについてご紹介致します。

 

給料から控除した税金の支払いについて

給与から天引きした税金は、会社が一旦預かったあと同額を国や各地方自治体に納付します。

  • 用意する書類(下記どちらか)
    ・所得税徴収高計算書(納付書)毎月納付用または納期の特例用所得税徴収高計算書(納付書)毎月納付用
    ・所得税徴収高計算書(納付書)毎月納付用または納期の特例用納期の特例用
  • 必要があれば作成する書類
    ・国税ダイレクト方式電子納税依頼書兼届出書(所得税)
  • 提出期限
    ・原則
    給料日の翌月10日まで
    ・納期の特例(所得税)を申請している場合
    1月~6月分→7月10日まで、7月~12月分→1月20日まで
    ・納期の特例(住民税)を申請している場合

    12月~5月分→6月10日まで、6月~11月分→12月10日まで

支払いの流れについて

  1. 所得税の納付書を作成する
    源泉所得税は、会社が自分で税額を計算し、納付書を作成する
  2. 住民税の納付書を用意する
    住民税は、従業員(または役員)の住所地の市区町村から納付書が送られてくる
  3. 金融機関の窓口などで支払う
    源泉所得税は、納付をすることで申告と納税が同時に完了する

源泉所得税の納付作業をマスターする

源泉所得税の納付書を作成して納付する

給料を支払ったら、自分で納付書を作成して、翌月10日までに金融機関の窓口で納付します。10日または休・祝日のときは、その日の翌月が脳期限となります。

源泉所得税の仕訳例
借方貸方
預り金

30,000

現金または預金

30,000

税理士などへ報酬を支払った場合

 税理士や弁護士、司法書士、公認会計士、社会保険労務士などから控除した源泉所得税は、給与と一緒の納付書に記載して、所轄の税務署に納付します。

e-taxを利用して納付する場合

次の2種類です。

  1. e-taxの画面からインターネットバンキングを利用して支払う
  2. e-taxの画面からダイレクト納付を利用して支払う

ダイレクト納付は銀行とインターネットバンキングの契約をしていなくても使えますし、手数料もかかりません。事前に「ダイレクト納付利用届出書」を所轄の税務署に提出しておきます。

住民税の納付作業をマスターする

住民税の納付書が送られてくる

預かった住民税は、給与を支払った月の翌月10日までに、各市区町村から送られてきた住民税の納付書を使って、金融機関の窓口で納付します。

住民税の仕訳例
借方貸方
預り金(住民税)

5,990

現金または預金

5,990

納期の特例を申請する

所得税

 支給人数が常時10人未満の会社は、年2回にまとめて納付できるという特例制度があります。

給料にかかる源泉所得税及び復興特別所得税納付期日
1月~6月分7月10日
7月~12月分1月20日

所轄の税務署に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出します。申請書を提出した翌月から適用になります。

住民税

 住民税にも、所得税の納期の特例制度があります。納付の時期が所得税とはひと月ズレているので、注意が必要です。

給料にかかる住民税納付期日
12月~翌5月分6月10日
6月~11月分12月10日

各市区町村に「特別徴収税額の納期の特例に関する申請書」を提出します。

外国人や非居住者に給与や報酬を支払った場合

専用の「非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書(納付書)」を使用します。非居住者への給与や報酬にかかる所得税だということが分かるように、「コード番号31」と記載します。納期の特例は使えません。

 

まとめ

 今回は給与計算の中でも給料から控除した税金を支払うことについての基本的なを説明をしましたがいかがでしたか。給料から控除される税金は、「所得税」と「住民税」です。また、社会保険料として控除されるものは、「雇用保険」、「健康保険」、「厚生年金」の保険料です。社会保険料は、所定労働時間が一定以上の被保険者になると控除される等の決まりがあります。そういった給与計算の仕事を円滑に行うには、社会保険労務士の資格取得がおすすめです。働きながら勉強できる資格なので、給与計算の担当としての成長を願うなら資格取得や複業で他社の業務に携わってみてはいかがでしょうか。

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