給料計算の基本とは

 今回はバックオフィス業務である給料計算の基本とはについてをご紹介したいと思います。給料計算は単に勤務時間の集計ではなく、税金や給付金、将来の年金に至るまで、従業員に関するあらゆる情報が詰まっています。また、タイムカードには様々な形態がありますが、給料計算する上で最も重要なデータです。今回はそんな給料の基本ついてご紹介致します。

 

給料の基本とは

給料の構造

給料は下記の3つから出来ています。

  1. 勤怠
    給料の基礎となる情報
  2. 支給項目
    基本給や手当などの金額
  3. 控除項目
    社会保険料・税金・その他

給料計算の3つの要素と法律上のルール

①勤怠②支給③控除
■労働時間
一日8時間・1週40時間■休日

1週1日もしくは4週4日■休憩
6時間超45分・8時間超60分
■時間外
法定労働時間を超えたら割増賃金の支払い■深夜
22時から5時まで■年次有給休暇
正社員とパートで規定
■最低賃金
都道府県ごと・産業別■割増賃金を計算する際に給料に含めなくてもいい手当
家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われる賃金■課税・非課税
通勤交通費は一定額まで非課税■端数処理
全額払い違反に注意
■法定控除
社会保険料、所得税、住民税など■独自の控除
労使協定が必要

給料支払いの5原則

給料を支払うときは、次の5つのルールを守ります。

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①通過払いの原則従業員の同意があれば、銀行振込も可能。自社商品などの現物支給
②直接払いの原則本人が病気などの場合は、本人の使者である家族に手渡すことは可能未成年だから親が受け取る
③全額払いの原則
  • 税金や社会保険料など法律で決まっているものや、欠勤・遅刻など労働を提供しなかった分は控除可能
  • 労使協定を結んでいれば家賃や親睦会費なども控除可能
  • 給料の一部を支払わない
  • 端数処理の誤り
  • 労使協定なしに控除した積立金など
④毎月払いの原則
  • 最低でも、毎月1回以上支払う
  • 年棒制の場合でも、月単位で支給する
  • 年棒制の会社で年に1回で支払う
  • 給料支払日の変更をして次の支払日まで1カ月半空いてしまった
⑤一定期日払いの原則毎月、15日など決まった日にちに支払う
  • 毎月支給日が異なる
  • 毎月第3水曜日など

 

タイムカードの集計

  1. タイムカードを集計する
    打刻ミスを確認し出勤日数、労働時間を集計する
  2. 月の休日数を確認する
    月給制の場合、各月の出勤日数が異なっても給料の変動はないが、月間の休日数はあらかじめ決まっているので、その日数より少なくなると「欠勤」多くなれば「(所定)休日出勤」となる
  3. 法定休日と所定休日を区別する
    法定休日は「1週1日」もしくは「4週4日」の休日のことをいいます。「所定休日」とは法定休日の他に会社の決めた休日を指します。
  4. 休みの種類を確認する
    休日には、会社が決めた休日(所定休日、または公休ともいいます)の他に、年次有給休暇、代休、振休、無給の休暇(子どもの看護休暇や生理休暇、介護休暇など)、慶弔休暇と様々な種類があります。有給なのか無給なのかで扱いが異なるため、必ず日数の確認をする必要があります。
  5. 休憩時間を勤務時間かあら差し引く
    ・6時間8時間以下の場合:45分
    ・8時間超:60分
    タイムカードに休憩時間の記載が無い場合は確認が必要
  6. 残業(時間外労働)を計算する
    残業は1日ごと、週ごとに確認します。1日の所定労働時間によって計算方法が異なります。
  7. 深夜勤務・休日労働を計算する
    22時~翌5時までの時間帯は深夜時間帯で給与が2割5分増しに、法定休日に出勤した場合は3割5分増しとなります。勤務時間が8時間を超えた場合の時間外割増と重なる場合は5割増しです。

時間が労働の基礎を知る

時間外労働の考え方

1日8時間を超えた時と1週間に40時間を超えた時は(週5日を超えて勤務した時)、それぞれ2割5分増しの割増賃金を支払います。また。1日7時間が所定労働時間の会社の場合、7時間を超えて8時間までは割増無しの1時間あたりの時間給を支払い、8時間を超えたら2割5分増しというように、2段階で残業を処理します。

変形労働時間制の場合

休日と同様、週平均40時間に収まるようにあらかじめカレンダーで労働時間を決めている場合、たとえ1日10時間働いたとしても割増賃金の支払胃の必要はありません。一方で1日5時間と決められた日に7時間働いた場合、法定労働時間である8時間を超えていませんが、2時間分の割増賃金を支払います。

休日出勤の基礎を知る

法定休日に働いた休日出勤

法定休日である1週1日もしくは4週4日の休日を確保できていない場合に働くと休日出勤となり、3割5分の割増賃金を支払います。

所定休日に働いた所定休日出勤

所定休日とは、会社で決めた休日です。土日が休みの会社ならm8時間勤務で月曜日から土曜日の6日働いた場合は土曜日が「所定休日出勤」となり、割増率は2割5分増し(時間外)となります。

「起算日」が重要になる

 給料の起算日

月末締め、10日締めなど、毎月決まった日付けが指定されていますが、給料計算期間の最初の日(月末締めの場合は1日)が週の途中である場合がほとんどです。その場合、給料締め日とは別に次のような「起算日」が定まっているので確認しましょう(通常は日曜日か月曜日)。

  1. 週の労働時間をカウントするための起算日(通常は日曜日か月曜日)
  2. 「1週間に1日」「4週間に4日」の休日数をカウントするための起算日

タイムカードを集計する

 タイムカードをチェックするときのポイント

 次の4つに注意してチェックします。

  1. 月給者の出勤日数がその月の決められた日数と一致しているか
    ・有給休暇、欠勤日数を合計すれば一致する

    ・打刻漏れ
    ・多く計上されている分は、休日出勤(所定・法定)としてカウントされている
  2. 打刻漏れについて本人と上司に確認すべきことがあるか
    ・勤務予定表と一致しない

    ・休憩時間の記録がない
    ・終業時刻のいずれかが抜けている
    ・遅刻早退がある→「有給申請」はあるか
  3. 所定・法定休日出勤があるか
    ・所定休日の区別が出来ている→割増賃金

    ・代休や振替を月内に取れている→割増賃金不要
  4. 移動や出張があるか
    ・交通費、計上が正しくできているか

    ・出張精算書は提出されているか

1日分・時間分の給料の計算をマスターする

年間平均所定労働時間で考える場合

次の例のように計算します。
(例)年間休日が120日、1日の就業時間が8時間、月額給料が25万円の場合

■月間平均所定労働日数

365日-120日÷12か月=220.4日

■月間平均所定労働時間

20.4日×8時間=163.2時間

■月割単価

25万円÷20.4日=1万2,255円

■時間単価

25万円÷163.2時間=1,532円

欠勤した場合の控除の方法をマスターする

欠勤した場合に日数分だけ差し引く場合(上記のケースにあてはめます)

(例)月間所定労働日数が20日の月に19日欠勤したと考える場合

25万円-(1万2,255円×19日)=1万7,155円

→1日しか出勤していないのに、荷割単価よりも支給額が多い

(例)月間所定労働日数が20日の月に1日だけ出勤したと考える場合

1万2,255円×1日=1万2,255円

年間平均で単価を出しているために、月によって所定労働日数が異なることによって不都合が生じる場合があります。このため、欠勤の対応には次の方法で計算します。

控除方式と支給方式

「10日」という区切りをつけて、「日割控除・日割支給」で計算します。

タイムカードと実際の誤差を確認する

タイムカードの時間が勤務時間

 15分単位や30分未満を切り捨てたりすることはできません。

「1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数が生じた場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げることがルールです。

 

まとめ

 今回は給与計算の基本的な内容や全体像を解説しましたがいかがでしたか。上記までにご紹介致しました通り、給与計算の仕事は単に勤務時間の集計ではなく、税金や給付金、将来の年金にいたるまで、従業員に関するあらゆる情報が詰まっています。また、タイムカードには様々な形態がありますが、給料計算をする上で最も重要なデータです。給与計算の実務自体はすでにできていても、給与計算の基本的な法律やルールを知らなければ会社としてリスクが発生します。これを機会に基本に立ち返り、日々の給与計算業務に問題がないか確認していただき、給与計算業務の流れを整理してみてください。給与計算の仕事を円滑に行うには、社会保険労務士の資格取得がおすすめです。働きながら勉強できる資格なので、給与計算の担当としての成長を願うなら資格取得や複業で他社の業務に携わってみてはいかがでしょうか。

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