人事の基本と1年の流れ

 今回はバックオフィス業務である人事業務の基本と1年の流れについてをご紹介したいと思います。人事業務は、会社の成長と従業員の生活を守る大切な役割があります。そんな人事業務の基本と流れついてご紹介致します。

 

会社経営にも、従業員の生活にも関わります

 あくまでも基本をご紹介致しますので、細かくは異なる場合があることはご了承ください。人事業務を大きく分けると下記3つに分けられます。

①法律に基づいて毎月決まった仕事

 人事の仕事は従業員の採用~退職まで、保険の手続きや給料計算などを通じて、従業員が安心して働き続けられる環境を作ることです。従業員の出産や労災の対応など、急に発生する手続きもありますが、ほとんどが月ごと・1年ごとの決められたスケジュールの中で進めることが出来ます。
 人事の中でも核となるのが給料計算です。ただソフトの使い方をマスターして従業員の給料を計算するだけでなく、新しく入社した人、子どもが生まれた人、住所が変わった人など、様々な変更点を把握していなければ正しい給料計算はできません。もれなく手続きをして、それが給料計算にどんな風に反映されるのかを理解しておくと、手続きも給料計算のスキルも格段に上がります。

②法律に基づいて従業員の生活を守る仕事

 法律で決められた仕事の中でもう一つ重要なのが、従業員の健康管理や生活に困ったときのサポートです。常勤の従業員は1年に1回必ず健康診断を受けなければなりませんが、人事は健康診断受診の調整だけでなく、その結果を把握・保管する義務もあります。また、稼働時間をチェックして、健康管理をする必要があります。
 そして、仕事以外のプライベートの場面における結婚・出産・離婚・病気やケガなど、様々な変化が起こったときに、社会保険や労災保険、雇用保険などの給付を申請したり、会社の制度を利用して安心して生活できるためのサポートをします。

③プラスアルファの仕事

 その他に、ハラスメント等のトラブルが起こらないように相談窓口を置いたり、教育研修を企画管理したり、従業員が快適に働き続けられるようにするためのサポートをします。従業員は常に同じ仕事をし続けるわけではなく、仕事を通じて成長したり、教育を受けてステップアップしていきます。逆に人間関係や健康上の問題で壁にぶつかってしまうこともあります。そのような変化に細やかに対応しながら、従業員の満足度を高め、一人ひとりが持てる力を最大限発揮することが出来るようにしていくためにも人事部門のサポートがとても重要になります。

 

人事の仕事に求められる資質

 毎月の給料計算や各種保険の手続きなど、決められた期限の中で正確に業務を行うことが求められます。また、部署を超えて全ての従業員と関わることになります。そこでは、従業員の給料や評価、健康状態、プライベートでは結婚、出産、離婚、家族の増減、病気やケガ、転居などあらゆる情報についてのやり取りがあり、また、ハラスメントなどの相談が来ることもあります。このように、人事の仕事は会社にとっても従業員にとっても重大な機密事項を扱っているため、「この人なら相談できる」という話しやすい雰囲気と安心感を持ってもらえるよう、個人や会社の秘密を洩らさないという高いコンプライアンス意識があることも必要です。

 

人事の仕事一覧及び1年の流れ

人事の仕事一覧

従業員の採用

採用計画から求人票の作成・内定まで一連の業務を行う。最終決定は経営者層が行う場合も多いが、面接をして新たな従業員として受け入れる人の資質や人間性を見極めることも求められる

従業員の入退社の社内手続き

入社に当たり、労働条件を通知したり、勤務のルールや相談窓口を説明し、スムーズに業務がスタートできるように サポートをします

保険関係の手続き業務

入退社の際の保険加入の手続き、住所変更や扶養異動、労災申請、出産・育児・介護・疾病による休業についての給付金申請手続き等もします。従業員だけでなく、会社の所在地が変わった場合や営業所を出した場合の届出もします

給料・賞与計算

毎月の給料計算をする。タイムカードの集計から保険料や税金の額を確定するところまで一連の業務として行う。賞与が支払われる月は賞与計算も別途する必要がある

健康診断

会社は従業員に対して定期的に健康診断を受けさせる義務があります。そして結果を把握し、健康保持のために仕事上、配慮をしたり業務改善や配置転換をすることも求められます。個人情報を適切に守りつつ、従業員全員の検診の実施を管理する

労働保険の年度更新

労働保険料(労災保険と雇用保険料)を1年分計算して、次年度の概算額と共に申告します

社会保険の算定

4月~6月支給の報酬額をもとに、社会保険の標準報酬月額を決定します。それ以外の時期に報酬の増減があった場合は、「随時改定」を行います。

人事の1年の流れ

1月
  • 入退社の手続き
  • 給料計算
  • 年末調整還付
  • 労働保険料(第3期分)の納付(延納申請をした場合)
  • 12月分及び賞与分社会保険料の納付
2月
  • 入退社の手続き
  • 給料計算
  • 次年度に向けた就業規則の改定
  • 1月分社会保険料の納付
3月
  • 入退社の手続き
  • 給料計算
  • 健康保険料率変更確認
  • 2月分保険料の納付
4月
  • 入退社の手続き
  • 給料計算
  • 年度更新のための賃金集計
  • 3月分保険料の納付
5月
  • 入退社の手続き
  • 給料計算
  • 4月分保険料の納付
6月
  • 入退社の手続き
  • 給料計算
  • 住民税の特別徴収額の改定
  • 5月分保険料の納付
  • 人事考課・賞与査定
7月
  • 入退社の手続き
  • 給料計算
  • 賞与計算
  • 概算・確定申告書提出
  • 労働保険料の納付
  • 算定基礎届
  • 賞与支払い届
  • 6月分保険料の納付
8月
  • 入退社の手続き
  • 給料計算
  • 7月分保険料の納付
9月
  • 入退社の手続き
  • 給料計算
  • 厚生年金保険料率改定
  • 8月分保険料の納付
10月
  • 入退社の手続き
  • 給料計算
  • 9月分保険料の納付
  • 労働保険料(第3期分)の納付(延納申請をした場合)
11月
  • 入退社の手続き
  • 給料計算
  • 10月分保険料の納付
  • 人事考課・賞与査定
12月
  • 入退社の手続き
  • 給料計算
  • 賞与計算
  • 賞与支払い届
  • 11月分保険料の納付

日々行うこと

  •  タイムカードの確認
  • 人事情報の入力・変更
  • 有給休暇、代休、振休のチェック

必要に応じて行うこと

  • 労働条件の変更に伴う辞令通知
  • 採用計画

年間を通して行うこと

  • 労務相談(ハラスメント対応)
  • 給付金(出産・育児・介護休業の手続き、傷病手当金、高齢者雇用継続給付、労災手続き)
  • 採用(採用事務・面接)
  • 健康管理(健康診断・ストレスチェック)

 

まとめ

 上記までにご紹介致しました通り、人事は、会社の成長と従業員の生活を守る大切な役割があります。そのために、多種多彩な業務を担う部署で、経営層と戦略的パートナーでありつつ、社員に関するオペレーション業務も担当するなど、年間を通して期待される役割は多岐にわたります。人事の仕事を円滑に行うには、労働関係の法律の知識を身につけられる社会保険労務士やキャリアコンサルタント等といった資格取得もおすすめです。働きながら勉強できる資格なので、人事としての成長を願うなら資格取得や複業で他社の業務に携わってみてはいかがでしょうか。

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