今回はバックオフィス業務である賞与計算の基本の社会保険料・雇用保険料の計算と明細書の発行についてご紹介致します。賞与とは、毎月の給与とは別に支払われ、定期または臨時に会社および従業員の勤務成績に応じて支給されるものです。ボーナスとも呼ばれます。賞与の支給額は、あらかじめ確定されているものではなく会社に義務づけられているものでもありません。ただし、支給する時には制度として就業規則などに、支給対象者や支給時期、計算期間、計算方法などを定めておく必要があります。就業規則に定めた時には、その規定内容に従って支給する義務が発生します。業績によって支給の有無がある場合でも、その旨を明示しておく必要があります。今回はこういった賞与計算の基本についてご紹介致します。
社会保険料・雇用保険料を計算する
賞与も社会保険料や雇用保険料を控除しますが、月額で支払う給料とは計算方法が少し異なります。
- 準備する書類
・健康保険
・厚生年金保険の保険料額表 - 検索場所
・全国健康保険協会/健康保険ガイド/保険料率
賞与の社会保険料の計算をマスターする
- 社会保険料の計算方法
賞与は総支給額から1,000円未満を切り捨てた額(標準賞与額)に保険料率を掛けて、会社と折半した額を控除します。端数は50銭以下切り捨て、50銭超切り上げで計算します。
総支給額:543,200円⇒標準賞与額:54,3000円健康保険料 543,000円×9.90%÷2=26,878円 介護保険料 543,000円×1.73%÷2=4,697円 厚生年金保険料 543,000円×18.300%÷2=49,684円
賞与の雇用保険料の計算をマスターする
- 雇用保険料の計算方法
賞与は総支給額に雇用保険料率を掛けて計算します。雇用保険料 543,000円×3÷1,000=1,630円
標準月額と標準賞与額の違い
社会保険料は料率が決められていますが、一定の金額の幅で等級が定められています。その等級に応じた金額が標準報酬月額となり、実際の給料の額とは異なるものに保険料率を掛けることになります。それぞれに対して標準賞与額は実際の支給額から1,000円未満を切り捨てるだけなので、より正確な保険料が計算されることになります。
明細書の発行
賞与の計算根拠を一覧表にまとめて保管し、各人に明細書を配布します。
- 作成書類
・賞与明細書(個人別)
・賃金台帳(個人別)
・賞与一覧表(会社全体)
賞与計算後に作成する書類
- 所与の計算が終わった
各人に賞与明細書を渡します。各人ごとの賃金台帳を作成し、給料と同じ要領で会社全体の「賞与一覧表」も作成しておきます。
従業員に543,200円の賞与を支払ったときの賞与の仕訳例
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
賞与 | 543,200 | 現金または未払金 預り金(源泉所得税) 預り金(健康保険料) 預り金(厚生年金保険料) 預り金(介護保険料) 預り金(雇用保険料) | 450,911 9,400 26,878 49,684 4,697 1,630 |
まとめ
今回は賞与計算の中でも社会保険料・雇用保険料の計算と明細書の発行についての基本的なを説明をしましたがいかがでしたか。社会保険料は、賞与からも同率で負担します。したがって、「協会けんぽ」に加入する会社員の場合、その負担率は年収の15%程度にもなり、所得税・住民税の実質負担割合を大きく上回ります。少子・高齢化に伴って、社会保険料は今後アップすることを念頭に置いておく必要があります。年間の所得税・住民税の負担と合わせた金額を差引いた、手取りの収入をしっかりと把握して今後の生活設計を行っていきたいものです。また、社会保険は会社と従業員で半分ずつ出しています。知らない方も多いですが、見えないところで会社労災保険料や一般搬出金などは会社が全額負担しています。天引きによって支払っているお金は、何かあった時の為や将来を安定的に過ごす為など、様々なメリットをもたらしています。そういった給与計算の仕事を円滑に行うには、社会保険労務士の資格取得がおすすめです。働きながら勉強できる資格なので、給与計算の担当としての成長を願うなら資格取得や複業で他社の業務に携わってみてはいかがでしょうか。